車はなく、鳥のさえずりもない氷点下のキロロの朝である。
無音の世界に近い。
普段、音に溢れた世界で生活しているので、この無音という世界に身を置くと不思議な気持ちになる。
しかし、慣れてくると心地いい。
5、6年くらい前、フランスの某ブランドで記念写真集を創った際、モデルで参加してくださった中に登山家の野口氏がいた。
スタジオの楽屋で登山中の無音の怖さの話になった。
吹雪いていて30センチ前の視界が見えないことも怖いが、無音の静けさの中を歩き続けるのも怖いとおっしゃっていた。
無音に狂いそうになることさえあるらしい。
そんな話をふと思い出しながら、ピンホールカメラで写真を何枚か撮る。
もちろん無音の様子はカメラに残せない。
待てよ。
もともとカメラという表現には音がない。
ということはカメラというのは無音で表現する世界観の一つなのかもとちょっと哲学的考えにふけろうかなぁと思いきや寒さが足下から襲ってきた。
下はジャージのままだったのである。
寒さが現実へと引き戻し、ロッジへと戻るのであった。
今回、お世話になったロッジに併設されていたゲルである。
草原のゲルもいいが、雪景色の中のゲルもいい。
ちなみにここのロッジは映画「ラブレター」のロケ地でもある。
















