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僕が大好きなペンブティックが青山にある。
「書斎館」という。
昨年、羽田空港第二ターミナルに姉妹店ができたとき、行列のできる文房具屋と呼ばれ、ニュースにまでなった。
来年の3月には第一ターミナルにもできるそうだ。
ちなみに第一ターミナルと第二ターミナル両方ともに店を構えるのは、資生堂とソニープラザしかなく、それに書斎館が加わる。
「全部、「S」から始まるから3Sって呼んでるんだよね〜」
オーナー赤堀氏は楽しそうに笑った。
彼との出会いは、「イシコの交遊録」に書いているので、そちらを読んでいただくとして、ここでは、何故、赤堀氏がペンブティックしかも万年筆を中心に扱うようになったのかを書こうと思う。
10年程前まで、スーパービジネスマンだった彼は、いつも時間に追われていた。
それは朝も同じ。
NHKニュースに表示される時刻を見ながら、8時少し前に家を出て、腕時計を見ながら足並みを合わせて駅に着き、ちょうどやってくる8時5分の西武新宿線に乗っていた。
ある日、アンティークの腕時計をつけて、家を出た。
時計が狂っていて、8時5分をちょうど乗り過ごしてしまった。
腕時計に腹を立て、こんな時計は捨ててしまおうと思ったそうである。
次の電車が来るまで約3分間。
彼はホームに立って何気なく風景に目を止めた。
何十年も住んでいるのに、この風景をキチンと見たことがない自分にふと気がついたそうだ。
看板越しに見える青空やホームの向こうに建っているアパートの洗濯物の様子。
「俺、何、時間に追われているんだろう?」
その日から、彼は携帯電話と格闘するのを辞め、ほとんど携帯は取らず、アポイントも、ほとんど受け付けなくなった。
「生意気だ」といわれ様が、そのスタイルをつらぬき通し、考え方も変わった。
世の中が便利になっていき、時間に余裕ができているはずなのに、その余裕があるとは現代人には思えない。
例えば、昔、大阪まで6時間かかっていて、今は3時間弱。
3時間の余裕ができたはずなのに、今の人達は昔の人達よりも時間が足りないと言っている。
昔は6時間の間に物事を考えたり、駅弁を食べながら風景を楽しんだり、じっくり時間が流れることで人生の豊かさを得ていたのだ。
それは万年筆にも言える。
一行書いたら、手が汚れるので乾くまで待たなければいけない。
その待っている時間に、様々な思いを巡らせたり、お茶をすする時間。
そんな万年筆の手紙にはメールでは伝わらない思いが伝わるのである。
南極船「宗谷」に乗船していた隊員の妻から送られてきた手紙に
「あなた」
しか書かれていなかったという話がある。
妻は心配でそれ以上、書けなかったのである。
それが封書に包まれ、届いた3文字の「あなた」を見て全てを理解し、隊員は号泣したそうだ。
メールだったら、間違えちゃったのかなと思ってしまうところである。
といったお話など、この続きは来週の朝EXPOトークライブで聞いていただければと思う。
ちなみにこのトークライブでは万年筆を使うと肩凝りがなくなる理由も赤堀氏から解明される。
これは書斎館で4年程前に購入した、ブレスレット型のペン。1880年代フランスの舞踏会で使われていた組み立て式のつけペンを赤堀氏が二年かけて1000個限定の復刻版をプロデュースしたのである。ナンバリングもされていて、僕はイシコにちなんで145を購入した。
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