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プロスキーヤー児玉毅氏が登ったエベレストの高さの約10分の1の標高800メートル程度の茨城県は筑波山に登る。
しかもケーブルカーで。
男体山と女体山の二つからなる筑波山のどんよりとした空はどこか神秘的である。
ベンチに座り、温かい肉まんを食べながら、ひんやりとした空気を楽しんでいた。
隣で双眼鏡を持ったおばちゃん4人組が盛り上がっている。
おばちゃんというのは3人以上になった途端に声が大きくなる習性がある。
って調べたわけじゃないけど。
彼女達は僕が写真におさめている風景とは全く違う場所を観ている。
一人は双眼鏡で熱心に見ている。
「開いた!開いた!今よ!今!」
双眼鏡おばちゃんが言うと、一人の原色おばちゃん(「どこで買ったの?」と聞きたい衝動にかられる黄色の服を着ていたので)が走り始めた。
他の彼女達は、その動きを見守っている。
気になって双眼鏡の方向に僕は目を向ける。
どう見てもトイレの方向である。
双眼鏡で見る程でもない近さではある。
「入った〜!」
おばちゃんがトイレに入るのを見届けると大爆笑しながら、きゃっ!きゃっ!騒いでいた。
おばちゃん達は、風景よりもトイレだったのだ。
時におばちゃんから「日常生活の楽しさ」の味わい方を学ぶイシコであった。
この後、激しい雨が僕らを襲うのも知らず。
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