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神田さおり氏の絵を観ていると、せわしない時間が緩やかに感じる瞬間がある。
ここ数年、様々な分野で活躍している彼女は絵を描くのが大好きである。
アーティストだから当たり前と言われれば、その通りなのだが、アーティストの中でも仕事感覚で絵を描いている人も世の中にはいるわけで、そういった部類の方々とは違って、彼女の場合、心から絵を描くのが好きなのである。
彼女はずっと描いていたいのだ。
僕がずっと旅をしていたいように。
彼女が代官山のアパレルのビルの3階のフロアを使って、約2ヶ月に渡ってパフォーミングアートを行ってきた。
最終日、一番、美味しい時にうかがうことができた。
2ヶ月という月日は彼女の作業着のインクの汚れが物語っている。
久々に会った彼女に制作している日の一日の様子を聞いた。
朝、この場所にやってきて一息つく。
壁一面を眺めて、その場のインスピレーションで今日、描く場所の前に立つのだそうだ。
ただ、途中で友達が遊びに来たら、近くに座らせ、その周りを絵で埋め尽くすし、差し入れの花が届くと、その花からもらったインスピレーションを絵に加えるなど自由な流れの感覚を残していく。
そんな彼女が自由に描いた空間の中に座り、絵の空気感に馴染ませていくと次第に緩やかな時間が自分の中に流れ始める。
壁という壁から床にまで描かれた彼女独特のタッチの絵がつながり、絵から漂う物語は現代版の絵巻物を読んでいるような感覚になる瞬間もある。
様々な瞬間を楽しんでいるうちに、どこかの洞穴の中で、彼女が岩に描いているような気持ちになってきた。
描いている姿をつまみに、酒をだらだらと飲んでみるのもいいなぁと思うのであった。
神田さおりさんです。ウソです。パリの路上にいたスプレーで絵を描くアーティストです。
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